何度か顔を見たことはあるけど、まだ話したことはない。
来ていたのは知ってるけど、その日は声をかけなかった。
同じ空間にいたけれど、ただ、それだけだった・・・。
そんなふうに、「関わっていない時間」のことを、なんとなく「なにもできなかった時間」だと思ってしまうことがあります。
でも、本当にそうでしょうか。
あの日、となりの席で同じ時間を過ごしていたこと。
声はかけなかったけど、そっと視線を向けたこと。
帰り道に、「元気そうだったな」とふと思い出したこと。
それって、ぜんぶ「関わり」だったと思うのです。
わかりやすい言葉や行動だけが、関わりじゃない。
目には見えにくくても、ことばにならなくても、おたがいに気配を感じていた時間は、たしかに存在していました。
「関わらなかった」というよりも、 目立たない関わり方をしていた のかもしれません。
無理に話しかけるでもなく、近づきすぎるでもなく、その人の距離に合わせて、そっといること。
そういう関わりも、ちゃんとあります。
関わりかたに「正解」はなくて、近くにいるだけの時間が、あとからじわっと効いてくることもあります。
だから、「あのとき関われなかった」と思ったら、そっとこう言ってあげてもいいのかもしれません。
「ううん、あれもちゃんと関わりだったよ」って。
あなたの中に残っている「ことばにならなかった関わり」って、ありますか?